AIとEV 2018 3 11

書名 EV 新時代にトヨタは生き残れるのか
著者 桃田 健史  洋泉社

 AI(人工知能)は、何度かブームがありましたが、
著者によると、EV(電気自動車)でも、
過去に、何度かブームがあったそうです。
 AIに関しては、
インターネットの発達による「ビッグデータ」や
魔法のチップと言える「GPU」の出現によって、
単なるブームで終わることなく、
現実のものになりつつあります。
 しかし、EVは、やはり、ブームで終わる可能性があります。
著者によると、EVは、製造コストや販売価格が高い。
ガソリン車と比べると、航続距離が短い。
充電インフラが整備されていないという問題があると指摘します。
 この本によると、急速充電器でも数十分、
自宅や会社の充電では数時間かかるとあります。
 急速充電でも、数十分かかるとなると、大きな問題です。
ガソリンスタンドで、ガソリンを入れるには、数分で終わります。
だから、ガソリンスタンドでは「渋滞」しないのです。
 しかし、「充電スタンド」で数十分かかるとなると、
「充電スタンド」の「渋滞」は避けられないでしょう。
 やはり、EVは、またしても、単なるブームで終わり、
自動車メーカーの「シンボル(象徴)」という存在になってしまうのか。
 しかし、トヨタや電子部品メーカーが開発をしている、
「全固体電池」が実用化されると、
EVにおける充電の問題は解決されます。
 これは、AIにおいて、
GPUという魔法のチップが出現したことにより、
劇的に改善されたことと同じようなことになるのか、
「全固体電池」の開発の進行状況によると言えます。
 私は、コンピューターに比べると、
自動車は、あまり詳しくないので、
以下に「全固体電池 2018 1 21」を掲載しますので、
読者の方々に「自動車の未来」について考えてもらいたいと思います。
(GPUについては、「GPUの時代 2017 7 17」を参照してください)

全固体電池 2018 1 21

書名 日経エレクトロニクス
   トヨタ、村田、TDKが実用化目前 全固体電池 いざEV、IoTへ
出版社 日経BP社

 「全固体電池」とは、あまり耳慣れない用語かもしれません。
電池というと、中学校の理科の実験で、
正極と負極、電解液がありました。
 この電解液が厄介で、液漏れしないように、
丁寧に扱う必要がありました。
 全固体電池では、正極と負極の間に電解液がなく、
一種のセパレーター(固体電解質)があるだけです。
 最近の電池というと、リチウムイオン電池を連想しますが、
このリチウムイオン電池も、電解液が使われています。
つまり、電解液を使うということは、液漏れの心配があります。
 しかしながら、そもそも、リチウムイオン電池では、
電極間で、リチウムイオンを直接やりとりするので、
理屈の上では、電解液は不要でした。
 しかし、日経エレクトロニクスの記事によると、
固体電解質の研究は、20年以上前からあったが、
電解液を超える「リチウムイオンの『よい通り道』」を
なかなか実現できなかった。
2011年以降にブレークスルーが相次いだとあります。
 全固体電池のメリットとしては、
安全性の向上があります。
 つまり、従来型の電池にあった、
電解液の液漏れや揮発と、その発火の恐れがなくなります。
 次のメリットとして、
数分で80%から90%充電する「急速充電」が可能です。
 さらに、電解液を使わないので、
全固体電池のフレキシブル化も可能でしょう。
 こうした全固体電池の用途として、
すぐに電気自動車を連想しますが、
まず先にスマートフォンの電池として利用できます。
 さらに、「IoT(Internet of Things)」へ利用ができます。
この「IoT」への利用が大きなものとなると思います。
 さて、意外な利用としては、
潜水艦の動力源として使えます。
 ディーゼル駆動の潜水艦では、
騒音をまき散らしているようなものですので、
電池駆動で潜水艦は動いていますが、
やはり、従来型の電池では、
充電の問題、液漏れや発火の問題があったと思います。
潜水艦で全固体電池が利用できれば、「潜水艦革命」が起こるかもしれません。
 話がそれましたが、
全固体電池は、スマートフォンどころか、
「IoT」への利用を考えると、全産業に影響を与えるでしょう。
これは、「第二の産業革命」となるかもしれません。

GPUの時代 2017 7 17 Marine Day

「まさかゲーム部品がAIの主役になるなんて」
 GPUとは、パソコンのCPUと似ていますが、全く別のものです。
話せば長くなりますが、
順番に、時系列に書いていきます。
 パソコンで、計算やワープロをしている時は、
CPUで十分だったのです。
 ところが、パソコンでゲームや動画を楽しむようになると、
CPUに大きな負担がかかるようになったのです。
 そこで、CPUは、計算処理に専念して、
画像処理は、画像処理専門の半導体に担当させるようになったのです。
その半導体が、Graphics Processing Unit(GPU)です。
 昔は、パソコンでゲームや動画を楽しみたい愛好家は、
競い合うように、NVIDIAなどのGPU(グラフィック・ボード)を買い求めたものでした。
 パソコン愛好家は、一時期は、CPUの性能に熱狂していましたが、
やがて、CPUではなく、GPUの性能に熱狂するようになったのです。
 強力なGPUがあれば、3Dゲームや動画が、
鮮明に、あるいは滑らかに表現できるからです。
 そういうわけで、いつの間にか、
パソコン愛好家の間では、CPUの時代から、GPUの時代になったのです。
 ところが、今や、AIコンピューターにも、
CPUではなく、GPUが使われるようになったのです。
 AIコンピューターでゲームをするのか。
いや、違います。
GPUがAIコンピューターに最適だとわかったのです。
 本来、画像処理用に作られたGPUが、
機械学習やディープラーニングで象徴される、
AIコンピューターの心臓部に最適だとわかったのです。
 そういうわけで、NVIDIAは、
ゲーム部品の会社から、AIコンピューターの主役になったのです。
 つまり、時代は、CPUコンピューティングではなく、
GPUコンピューティングの時代になったのです。
 このままでは、コンピューティングの主役は、GPUであり、
CPUは、オマケのような存在になってしまうかもしれません。
 さて、CPUとGPUの構造的な違いは、コアの数です。
一般的なCPUでは、コアの数が4から8ぐらいだと思いますが、
GPUにおいては、数千になります。
 もちろん、こんなにコアが多いと、大きな熱を発生させます。
そういうわけで、CPUよりも、GPUの方が熱の発生量は大きいのです。
 そもそも、GPUは、3Dゲームや動画を楽しむために開発された専用半導体であり、
CPUのように、何でもできる汎用の半導体ではありませんでした。
 ところが、GPUが高性能化してくると、
汎用という分野でも、最初から汎用に設計されたCPUを上回るようになり、
GPUが、CPUのような仕事も引き受けるようになったのです。
これを「GPGPU(General-purpose computing on GPU)」と言います。






























































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